うちという一人称は、忘却のかなた

一人称が「うち」から「わたし」にかわったときのことを覚えているだろうか、全く、思い出せない

一日に何回も、何回も、うちはね、うちはね、うちらさ、と言っていたのに、はるかかなた、でも自己と他者との境界線がはっきりしたときだったかもしれない、とっくに見失ったうちは自分ではない思いっきりの別人だったな、関マドとかえりみち、電車で話しながらぼんやり考えた、26才の晩夏、しょうもないものは消えても、大事なものは確実にのこる

 

かえりみち

かえりみち